FC2ブログ
ハンマースホイ展
Mon.13.10.2008 Posted in Art

hstop.jpg

『ヴェルヘルム・ハンマースホイ -静かなる詩情』展。

国立西洋美術館で開催中。



先日の内覧会での『大琳派展』のことも、まだ書いてないですけども。
というか、今後も書く予定はありません。


言いたいことはなくはないです。

が、琳派についてわたしが個人的に語るべきことなど、今さら何もないですから。


・・・まぁでも、琳派は。

どちらかというと、あれは、芸術というよりはね。
「デザイン」だと思います。

光琳なんか、わたしはウォーホールに似ていると思っています。

俗っぽくて、かつ、非常に優れたデザイナーの職人仕事。


で。


ハンマースホイについても、ちょっと似た感想を持ちました。


とにかく、わかりやすい。


とてもわかりやすい「静謐」。
わかりやすい「叙情」であり「詩情」。


実は結構、単純明快な画。


孤高の、という表現は間違っていない。
確かにOne and Onlyです。

でも、この画家には、「孤高」という単語の字面からイメージするようなシャープさとは真反対の要素もかなりあるな、と。

この人はとっても現実的で、俗っぽいんだな、と。

そのように感じました。


不思議とか不気味とか、そのように表現されるのもわからなくはないですが。
でも、別にそんなに不思議な作風ではないです。

というか、その「不思議さ」の塩梅が絶妙というか。
計算高いといえなくもない。


・・・し、大衆受けするラインでの落としどころというか。
匙加減が上手いな、と。


いや、描いている本人はね。

そのあたり、特に狙っているわけではないと思います。
結果的にそうなっているだけだろうな。


とは言え。
「あえてやってる」風でもあるし、多少、確信犯的な匂いもするかな。

まぁでも、それもまた才能です。


非常に研ぎ澄まされた美意識の持ち主なんですが、おそらくは。
ご本人が認識していたよりも遥かに、その美意識は「こちら側」に近い。

そんな印象。


良い悪いではないです。

職業画家なんだから、ある種の通俗さはアタリマエ。
てか、むしろ必須の要素かと。

でないと食べていけないもの。


hs.jpg


彼の室内画は、そうねぇ。


喩えて言えば、1人芝居とかね。
複数でも3人くらいまでの、ストレート・プレイの舞台を見ているような印象なんです。

場面の切り取り方とか、その提示の仕方とか。
彼の作風の、それこそ「あえて」感は、舞台芸術のそれとかなり近い。

小道具の表現や簡略化・省略化の方向性。
奥行きの出し方のテクニック等が、舞台と似ている。

というか、方法論が共通しているんですよね。


舞台の美術や照明なんかをやっても、きっと。
いい仕事をしただろうな、この人は。


わたしは『The Vertical Hour』の、あのシンプルで美しい舞台装置をね。
ふと思い出しては、しみじみしたりしておりました。


約90点の作品の中で一番気に入ったのは、誰もいない室内に、いかにも北欧らしい木枠のソファーが置かれた画でした。

パープルが入ったグレイッシュな壁の色が、とてもよかった。


・・・いかにも日照時間の短い国の人らしく。

この画家は、時間と共に刻々と角度と表情を変化させる陽光と。
その影を写すにあたって、独特の審美眼を持っていたようで。

銀、グレイ、ブルーグレイ、ペールグレイ、オフホワイト等。
色彩というよりは、明度の表現が、たいへん繊細で綺麗です。


hs2.jpg


今回の展示は、6月28日から9月7日までロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催されていた回顧展の巡回となります。


深まりゆく秋に誠にふさわしい。

文句なく美しい展覧会。


特に、北欧のインテリアやアンティークに興味がある方には楽しめるかと思います。


« Cosmos | Home | patchworks »

comments

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)