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大晦日前夜のこと
Sat.24.03.2012 Posted in @Theater


彼は、前日と同じく。


外のドアから劇場のエントランスに回って。
わたしを、迎えにきてくれた。



幕間に談笑する、たくさんの紳士淑女の皆さんの間を縫って。






眼鏡をかけた、細面の。
端正に整った顔に、柔らかな微笑みを浮かべて。

ロビーの、少し奥まったところに座っていたわたしのところに、真っ直ぐに歩いて来る彼を見て。


わたしは、とても嬉しかった。




劇場に来る前に送ったメールに、返信はなかったけれども。
心配はしていなかった。



たとえ、何かの行き違いがあって、彼がわたしのメッセージを読まなかったとしても。
ステージから、わたしの姿を認めたら、彼は必ず。

わたしに会いに来てくれる、と。



もう、わかっていた。





彼は、そのことは何も言わなかった。
メールを読んだとも、読まないとも。
わたしも、何も聞かなかった。



聞く必要も、なかったのだ。






わたしは、それまで座っておしゃべりしてた隣席のご婦人に断って。
ブーケを両手に、立ち上がった。




この日作った花は、大輪の芍薬と、純白のアガパンサスとレースフラワーで組んだ、かなり大きなキャスケード・ブーケで。


まぁ、なんて豪華。
ブライダル・ブーケ? と。

人々が皆一様に、目を丸くして仰るようなスタイルの花だった。


そのへんの街中ではまず、そうそう見るような花束ではない。

でも、わたしは、彼ならまったく問題ない。
あの人ならこなす、絶対に大丈夫、と踏んで作った。



だって、わたしにとっては、何よりもまず。
彼その人が、大輪の花のようなものだから。



わたしの花は、彼を引き立てる小道具に過ぎない。


一見とてもやさしい、上品で控えめな雰囲気の人だけれど。

その実、その内面が、誰にも負けないほどに華やかで、情熱的で、強烈な個性を持っているということは。

どんな豪華な花にも、彼が決して負けないという事実が。
如実に証明している、とわたしは思っている。






その白い、大きなブーケは、彼に。
まるで、あつらえたように、よく似合っていた。


その上背にも、清潔な雰囲気にも。
紳士らしく落ち着いた、抑制の効いた物腰にもぴったりだった。




わたしは、心から満足だった。





ほの暗いラウンジのライトの下で、花と彼が、お互いに引き立てあって。

本当に、本当に。




それは、素敵な眺めだったのだ。





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