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Porgy and Bess
Sat.21.01.2012 Posted in @Theater

120121-1.jpg



『The Gershwin's Porgy and Bess』を観た。





今回のBroadwayでのオープンまでに、ちょっとした。
紆余曲折のあったミュージカルです。



というのは、ケンブリッジでのトライアウト中に、オリジナルの脚本を大幅に改変していることがわかり。

御大・ソンドハイムが、演出家及び、主演のオードラ・マクドナルドを名指しで叱責。
それも、天下のThe New York Times紙上で。



御大が激怒したのは、まず、結末の改変。


ご存知の通り、この芝居(というかオペラですが)は、ハッピーエンドではなくて。
脚本をそのまんまにとると、結構な、苦い結末となっています。

(少なくともアメリカン・ミュージカルとして上演するにしては)あまりにもダークな結末の、一般観客ウケを恐れてか。

演出家とプロデューサーが、トライアウト時に。
より明るい結末を感じさせるオリジナルシーンを創作・挿入しました。


これに、御大が怒髪天をついた、と。



それと、タイトルですね。


トライアウト時には、『The Gershwin's Porgy and Bess』というオリジナルのタイトルから、作曲家名である"The Gershwin's"を落として。
単に『Porgy and Bess』としていたことに対して、ソンドハイムが痛烈な非難を浴びせた。



アメリカ演劇界で、ソンドハイムといえば、現人神のような存在。
その影響力は絶大で。

結果として、Broadway公演で予定していた投資家が、何人か降りてしまい。
プロデューサーは、代わりの投資家を探し出すことにはなんとか成功したものの。

正式オープン時には、もともとオープンランだった予定が、たった26週の限定公演になったという・・・。





この一連の事件についての、わたしの、初期の個人的な感想としては。

ああ、御大もずいぶんと罪なことをなさる、というものでした。




というのは、御大の、作曲家及び原作者の意図を尊重すべしという主張はわかりますけども。
今回の場合は、そもそも、著作権保持者にして遺族であるガーシュウィン財団は、この改変に同意していたわけで。

古典は古典として、その価値を尊重し、とどめることにはなんら異存はございませんし。
というか、むしろ、そこは大いに賛同しますけども。

しかし、パフォーマンス・アーツが時代と共にその表現形態を変えていくことにストップをかけるなんざ、ナンセンスではないか?と。

わたしは、個人的には思いました。


その改変の詳細は、今となっては不明ですが、しかし、遺族が承知していたというのなら。
オリジナルのエッセンスを曲げるようなものではなかったんだろう、と想像できる。


まァ、もう、終わったことですけどね。。。





というわけで、オープン前から曰くつきだったこの芝居。
(というか、個人的にはこの一連の騒動で結構テンションが下がった)



はたしてどんなもんかと。

半ばおそるおそる、鑑賞に臨んだわけですが。





120121-2.jpg




結論から言うと、素晴らしかったです。






何が素晴らしいって、そりゃあ、楽曲が美しくダイナミックで素敵なのはアタリマエなんですけども。



Porgy役の、ノーム・ルイスがもう、あなた。
すんばらしいのなんのってもう!
(滂沱)



久々に、こういうマスキュランな男性役に、グッときました。


"Bess, You Is My Woman Now"の情熱、温かさ、包容力。

太いバリトンで、ベスへの一途な愛を歌い上げるノーム・ルイスに、わたくし。


あやうく惚れそうに。
(惚れませんが)



わたしは、このオペラの中では、有名な"Summertime"や"I Loves You, Porgy"より何よりも。
このやさしい二重唱"Bess, You Is My Woman Now"が、大好きなのでございます。


彼はもうとにかく、全編を通して素晴らしかった。




ベス役のオードラ・マクドナルドは、歌だけ聞いていれば最高!
・・・でございました。


いえ、そりゃもう、たいへん美しい方ですし。
スターとしての華も言うことなし、なんでございますけども。


いかんせん、ベス役には強すぎる&濃すぎる。
(&ちょっとどすこい過ぎる)


婀娜な女の魅力は十分なれど、ベスの持つどうしようもない弱さや流されやすさが、あまり伝わってきませんでした。


ご立派すぎて。



二幕冒頭の、情夫クラウンとの邂逅シーンも、彼の強引さと情熱にほだされるというよりは、なんというか。
最後は、ベスの方が「バッチコイ!」状態になっていたような。。。

って、それはどうか。


まァでも、目を閉じて声だけ聞いている分には、なにせトニー賞4回受賞の実力派。
たいへんな美声でございますので。


まァ良いか。
(おい)




ソンドハイムの剣幕に恐れをなしてか(多分そうなんでしょう・・・)、ラストの改変は、結果的にはなく。

従来通り、NYに去ったベスを追って、ポーギーが一人、萎えた足をひきずって。


旅立つところで、舞台は幕を閉じます。




まァ、普通に考えたら、この時代に。
南部のド田舎からNYまで。

一文無しの乞食、しかも足が不自由なポーギーが、無事に辿り着けるわけもなく。


ベスにしても、恐らくは、麻薬でボロボロになって、スポーティング・ライフにも先々は捨てられ。
悲惨な末路が待っているのは、想像に難くないわけで。



ポーギーとベスはきっと、二度と会えなかったんだろうしね。



だから確かに、暗い結末といえば、そうなんですが。

でも、そんなことは実は、大した問題ではないのですよ。



人として生まれて、そこまで人を愛することができた。
命を賭けてでも愛したいと思える人と巡り合えた、ということが。


何よりも大切なことで。


それ以上に幸せなことなんて、この世の中にはないのだから。


誰がなんと言おうとも。




ラスト・シーン。
NYに一人旅立つポーギーこと、ノーム・ルイスの晴れやかな笑顔が、すべてを物語っていました。


と同時に、ああ、やっぱりこの物語はこの形で終わって正解だよな、とも思わせてくれました。



素敵だった。





そういうわけで、色々と論争のあった本作ですが。

終わりよければすべてよし、ということで。



限定26週公演、どうかお見逃しなく。




本当に、素晴らしいです。



心の底から、おすすめいたします。







☆同日マチネにご覧になったメガネヒヨコさんの記事はこちらから。
(素敵ヒヨコ絵入りのナイスな旅行記です)





120121-3.jpg



『The Gershwin's Porgy and Bess』@Richard Rodgers Theatre


Cast List:
Audra McDonald
Norm Lewis
David Alan Grier
Phillip Boykin
Nikki Renée Daniels
Joshua Henry
Christopher Innvar
Bryonha Marie Parham
NaTasha Yvette Williams
Allison Blackwell
Roosevelt André Credit
Trevon Davis
Joseph Dellger
Wilkie Ferguson
Carmen Ruby Floyd
Heather Hill
David Hughey
Andrea Jones-Sojola
Alicia Hall Moran
Cedric Neal
Phumzile Sojola
Nathaniel Stampley
Julius Thomas III
J.D. Webster
Lisa Nicole Wilkerson



Production Credits:
Diane Paulus (Direction)
Ronald K. Brown (Choreography)
Riccardo Hernandez (Scenic Design)
Emilio Sosa (Costume Design)
Christopher Akerlind (Lighting Design)
Acme Sound Partners (Sound Design)



Other Credits:
Lyrics by: DuBose Heyward and Ira Gershwin
Music by: George Gershwin
Book by: DuBose Heyward



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comments

そんな事情が!!

ソンドハイム氏、ナベツネ並みの老害ですね~(苦)

この作品、自分向きではなかったのですが、観に行って本当に良かったです。
いわゆるハッピーエンドではないですけれど、ポーギーがあまりにも幸せそうだったので。

しかし…改変のストーリーって本当に気になりますよね!
でもそうなってたら、あれほどの感動は無かったかも知れませんが。

そうなんですよ。。。

メガヒヨさん

いえ、わたしこそ、S子さんとメガヒヨさんのプッシュがなければ観なかったかもしれません。何せこの芝居に関しては、テンションが下がっていたもので。感謝、感謝でございます~。

ラストの改変は、「より明るい未来を想像させる結末」ということだったんで、いずれにせよポーギーがベスと再会できるという方向でしょう。もしかしたらNYに去ったベスをもう一度出すとか、そういう感じだったんじゃないでしょうか。何せSrarring Audra McDonald ですしね、彼女の出番を増やしたとか、そういうことでは?

もしそうだったとしたら、改変しなくてやっぱり正解だったと思います。原典通りの、悲しいけれども余韻を残すラストは、たとえ現世的な幸せはなかったとしても、人間の魂にとっての究極の幸せはこれだ!という説得力がありましたよね。
わたしは、苦いけれどもしみじみと美しい、素敵なラストだな、と今回つくづく思いました。

メガヒヨさんもおっしゃっているように、ノーム・ルイスの笑顔がね、良かったですよね。やっぱり。

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