スポンサーサイト
--.--.--.-- Posted in スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Backstage of Majestic 3 -20th Anniversary-
Sat.26.06.2010 Posted in @Theater


この舞台に、彼が。



主役として初登板したのは、1999年。






それから、足掛け10年。


同役を演じてきました。






本役は、ミュージカルを中心に仕事をする男優にとって、ある意味。


究極の大役ともいうべきものです。




というのは、なんといっても、まず。



前提として。




この役は、つまり。


「異形の哀しみ」というべきものを体現するようなキャラクターであること。





ふためと見られぬような醜い外見を、仮面の下に隠し。



オペラ・ガルニエの地下で、人知れず。


ひっそりと隠匿生活を送る、稀代の天才音楽家という。




世にも奇天烈な人物像となっていること。





そういった設定を踏まえ、またストーリーが。


良くも悪くも、浮世離れした。



たいへん大仰かつ。



奇想天外なトンデモ噺なので。




主演がちょっとでも貧相であったり、華に欠けたり。



あるいは、その歌唱に少しでも説得力がなかったりすると、観客は。



ああっという間に。




現実に、引き戻されてしまうわけです。




それは、がっかりでしょ?




この芝居から、「夢」をとったら何が残る?っていうね。



これは、そういう類の舞台。





オーディエンスを、2時間半もの間。



何世紀も以前のパリに、トリップさせなければならないんです。





であるからこそ、物語を牽引するタイトル・ロールには、とにかく。



単純明快なストーリーであるが故に、ある種の陳腐さと抱き合わせにならざるを得ない、その筋立てや。


それらを補うために、演出家がこれでもか!と繰り出してくるスペクタクルな仕掛け、ケレン。



大時代で派手な衣装といった諸々を、ものともせぬ「威」。





物語の細かい粗や矛盾を、力技でねじ伏せる。



有無を言わせぬ歌唱力と、演技力。





何よりも、得体の知れぬ、底の見えないスケール感というものが、要求されるんです。




難役なんですよ。





つまり。


この、ミュージカル界きっての超・ロングラン作品には。



主役がちょっとでもあかんかったら、舞台そのものがすべて台無し。



という。


結構見も蓋もない、ワンマン・ショー的な側面があるのです。








その点、彼は見事。



完璧でした。





なにせ、196㎝という長身痩躯。




手も足も長く、大きく。


すべての造作が派手。



それでいて、挙動は非常に上品かつ優雅。




怒り、哀しみ、執着、嫉妬。



天上の高みから、地獄の底まで。


あらゆる感情と。



ありとあらゆる人間の業を、一瞬にして表現する、


恋敵への恫喝声から、片恋相手への、甘いたぶらかし声まで、


緩急自在・変幻自在な、艶のあるハイ・バリトン。





完成された大人のエレガンスと、老境にさしかかりつつある男の無惨というものを。



交互に見せる技。






そして、何よりも。



何事にもおよそ一切の妥協というものがない、完璧主義で職人肌な。



彼自身の性格が。




キャラクターに、ぴったり嵌っていました。





そこにさらに。


彼の、複雑で激しい半生が投影され、また昇華されることによって。


他者の追随を許さぬ、彼だけの "Phantom" を創出し得た。




だからこその10年だったんです。








たかが10年、されど10年。



しかし、この10年は重い。






わたしが彼の同役を観たのは、最後期の、たかだか4年あまりのことですけれども。




その重みを、多分。



彼の一番近くで見、かつ。


体感することを許されたファンだったと思います。





有難いことだ。






100625-1.jpg



20周年記念公演の前日、楽屋にて。




こう見ると、このマスクは、非常に簡素な作りながら。



やはり、影や紅の入れ方に、入念な工夫があることがよくわかります。










実は、このときは。



記念公演当日は忙しかろうと、あえて。


わざわざ前日に訪ねたの。




花を持ってね。






そうしたら、彼が。




明日も来い、帰る前に、もう一度顔を見せにおいで。



待っているから、と言うので。





翌日、慌てて、花以外の手土産を探しに。



朝から、走り回ったのでした。





いくらなんでも、手ぶらでは行けん!





100625-2.jpg

20周年記念公演の特別カーテンコールにて。
最長出演キャストである、アンドレ役のジョージ・リー・アンドリュース氏を讃える。





この後、演出家のハル・プリンス氏を舞台上から紹介して。


キャストやカンパニー。


そして、詰め掛けたオーディエンスに謝辞を述べた彼は。



とても誇らしげで、立派だった。






幕が降りた後、わたしは、楽屋に友人を伴いまして。



彼に、あらためて紹介をしました。




フランクかつ丁重に挨拶を交わして、握手をする二人を。



この特別な日に、彼の部屋で。



二人の間に立って、見るのは。




わたしには、とても。



感慨深いことだった。







自分にとって、かけがえのない。



とても大切な二人が。



自分を介して、こうして出会ってくれて。





自分の目の前で、にこやかに会話をしている。






ああ嬉しいな。

人生って素敵だな、と思ったな。







今でも、何かにつけて、よく思いだす。





忘れがたいシーンであり、しみじみと思い出深い。






大切な、大切な、夜のひとつです。







« Bridge | Home | Backstage of Majestic 2 »

comments

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。