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■MOVIE■『抱擁のかけら』★★★★
Sun.07.02.2010 Posted in Movie

los-abrazos-rotos1.jpg


2009年、マドリード。

盲目のハリー・ケイン(ルイス・オマール)は、映画プロデューサーのジュデット(ブランカ・ポルティージョ)やその息子・ディエゴにサポートされながら、脚本家として日々を過ごしていた。

そんなある日、彼は、実業家のエルネストが亡くなった事を知る。

その直後、映画監督を名乗る1人の若者が現れて、ハリーに自分の監督作の脚本を依頼するが、実は、若者は、エルネストの息子だった。


1994年。
その頃のハリーは、映画監督のマテオ・ブランコとして活躍していた。
ある日、マテオはオーディションにやってきた美しい女性レナ(ペネロペ・クルス)に心を奪われる。


しかし、レナは、エルネストの愛人だった…。



ペドロ・アルモドバル監督の最新作。


原題は『Los Abrazos Rotos』。




大雑把に、一言で言うならば、本作は。

天才・アルモドバルによる、映画へのオマージュというか。
彼の、映像へのオブセッションと愛を描いた作品、ということになるんでしょうが。



そこは、アルモドバルなんでね。
そう一筋縄でいくわけはなく。


それ以外に、色々と複雑な筋…というか。

錯綜する内容を孕んだ映画になっています。



男と女の愛と憎。


「見える」ことと「見えない」こと。


隠された事実と、暴かれた嘘。


父と息子。


同性愛と異性愛。


フィクションとノン・フィクション、とか。



もう、色々。




人間関係がややこしいのは、アルモドバル監督作の常でございますからして。

本作も、いくつかのこみいった三角関係がね。
並行して描かれるんですけども。

その主軸となるのは、エルネストとレナ、そしてマテオ。


ここで、ああ、いかにもアドモルバルだなっていうのは。

エルネストとマテオは、実は、二人とも、ゲイだってことですね。


もっとも、エルネストは、本来的にはゲイなんだけど、自分の嗜好を認めず、抑圧している。
(その抑圧は、女性への過度の執着、あるいは家族やレナへのサディズムに向かう)

マテオは、まぁ、平たく言うと、どっちでもいけるってか。
この人は、本質的にはゲイで、表面的にはバイ・セクシュアル。



そんな二人の男が、レナという一種のファム・ファタルを挟んで、偏執的な。

ドロッドロの愛憎模様を、延々と、繰り広げるわけ。



濃ゆいです。




そんな、ややこしいにも程がある、かたや中年のアーティスト。

かたやスペインきっての初老の実業家という。


男二人に愛されるのが、そんじょそこらの女であるわけはなく。


そこで、ペネロペ・クルスですよ。



100207-1.jpg



天使のようなあどけなさ。

完璧に整った、小さな顔。


非の打ち所のない、スリムにしてカーヴィーな体。


蓮っ葉で、ちょっと下層な強さと、脆さが交互に表れる、繊細な表情。


無邪気な微笑みの影にのぞく、激しくも複雑な内面。



怒りに震える表情こそが、なぜか、一番魅力的な。



男性の嗜虐心も被虐心も、同時に満足させられそうな。





ただの別嬪じゃなくてね。

聖と俗、大人と子ども、ロウワーな雰囲気とノーブルさ、みたいな。
二律相反的な要素を感じさせる彼女は、いかにも。


ゲイの男の、美意識と憧憬と、嫉妬と羨望を。


その身に集めるに、ふさわしい。



適役と思います。




los-abrazos-rotos-2.jpg



多分、アドモルバルにとって、ペネロペは。

自分がなりたかった女、なんじゃないかな。





お話しとしては、アルモドバル流の”ニュー・シネマ・パラダイス”的な。

ラスト15分を除けば。


こってこてのメロドラマです。



ま、ね。

設定はヘンだけどね。
(なぜならアルモドバルだから)




好き好きは、別れる映画と思います。


わたしは、無論、支持。




前作の『ボルベール』のようなカタルシスはないですが。


本作の、寂獏として、かつ。

なんとも心温まる物語の帰結の仕方もね。


これはこれで、捨てがたい。




ボルベールは、「女」の映画でしたが。

本作は、男の映画。



「男」の物語は、きっと、これで良いんだろうと思います。





アドモルバル作品は、いつもそうですが。



衣装、メイク、インテリア、小道具の一つ一つや、風景。

劇中挿入される映像にいたるまで。


全編に渡ってビシッと貫かれた、彼自身の美意識と。

脇の女優の存在感も見所。



アドモルバル・レッドとでも呼びたくなるような。

独特の真紅が効いた、エッジの立った映像を観ているだけで、幸せな気分になれる。



美しいものが好きな方に、是非、観ていただきたい作品です。




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