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誤算
Sun.15.11.2009 Posted in @Theater

The York Theaterの客席数は130。
ステージに向かって、ゆるやかに傾斜がかかる構造になっており。

劇場のどこからでも、役者の動きがとてもよく見える。

オーディエンス(=主に年寄り)にとって、実にやさしい作りだった。




というわけで。


マチネの後、近所で所用を済ませ。


ソワレのために、再度劇場に戻って。
自分の席を改めて確認したわたしは、その場で、硬直することとなったのだった。


席が、あまりに舞台に近すぎる!


この日のソワレのわたしの席は、最前列のほぼ中央。



・・・Majesticでは、毎度毎度、阿呆のように。
懲りもせずに、超・最前列にて。

かぶりついて観ているとは言え。


それとこれとは、全くの別物。


というのは、POTOは、究極のショウ・アップ・ミュージカルで。
舞台と観客席は、物理的にも心理的にも、はっきりと切り離されているので。

その点は、全く問題がなく。

役者見をするんだったら何はともあれ、かぶりつき、という。
己の欲望に忠実な座席選びをすれば、それで良かったのだ。


そもそも、あの役は、神秘的であることが、ある意味「売り」の一つでもあるわけで。

主役は、ヅラやら仮面やら特殊メイクやら、マントやらケープやらで常に完全武装。

ラスト間際、小娘に無情にもマスクを剥がされるその瞬間、最後の最後まで。
Phantom役は、基本は暗がりにその身を潜め。

全体像を顕わにしないのがお約束。



ので、ある意味、こちらも、安心して見ていられるというか。


が、この手作り感満載。
セットなど、ほとんど無きに等しく。

おまけに、台詞が多くて、コンサート形式と銘打っているとはいえ。
印象としては、ミュージカルとストレート・プレイの中間ってな芝居で。


かつ、ほとんど内輪の客に向けた舞台では。


この席は、いくらなんでも、気まずい。


近すぎるんじゃ!
あまりにも!


この劇場の最前列と舞台の間には、わずかに、階段一つ分程度の段差があるだけで。
その距離も、2メートルあるかないか。


要するに、舞台から観客席は丸見えで、逃げ場なんざどこにもない。
というか、最前列にいたっては、ほとんど。

舞台と同化しているような作りなのだ。



一体どうしろと?



わたしは、彼の素顔には慣れ親しんでいるし。
それこそ、犬のように懐いているけれども。

彼の、「素顔での舞台」には、全然慣れていないのだ。


おまけに、この『High Spirits』。

彼は事実上の主役で。
ほぼ全幕、舞台に出ずっぱり。


しかも、本作は、艶笑系の。
大人のためのラブ・コメディときた。



照れるがな!



というわけで、開演前から。
わたしはいつもより、随分とナーバスになっていたのだけれど。



そんなわたしの複雑な心境をよそに、舞台上に颯爽と登場した彼は。

マチネに輪をかけた全力投球で。


タキシードの正装でかます、ツイストもモンキー・ダンスも。


その間抜けさといい、可愛らしさといい、優雅さといい。
誠にあでやかなことこの上なく。

実にブリリアントで!


至近距離で繰り広げられるラブシーンの、ロマンティックなことといい。
犬も食わないような痴話喧嘩での、プリプリとヒステリックに怒る様といい。


わたしは、最前列で、いちいち悶死寸前だった。


無論、舞台上の彼とは、しょっちゅう目が合う。
だからといって、照れるあまりに目をそらすことなんて、彼に失礼過ぎてとても無理。


結果、瞬きもせずにガン見、という・・・。


こっちを見ないでくださいってば。

お願いですから!



そんなわけで。


彼の大サービスっぷりと。

一幕が終了した時点で、前日、殆ど寝ずにNY入りしたこともあって。
わたしの緊張と疲労はピークに達し。

一時は、「助けて、あたいが悪かった、もうおうち帰りたい!」モードにさえなったほどだったのだ。



が、この日は。

インターミッションで、よろよろとロビーにまろび出たところで。

全く予想していなかった、ビッグ・サプライズが待っていた。



というのは、Majesticのメイクアップ・スーパーバイザーで、友人のTがわたしを見つけてくれて。
(わたしが来ているに違いない、と開演前から探していたらしかった)

彼女とこんなところで会えるなんて、思ってもいなかっただけに、とても嬉しく。

毎度「お母ちゃん!」と思わず声を上げたくなるような、彼女の分厚く逞しい胸に抱きとめられただけでも、わたしは大分、気が安らいだのだが。

なんと、彼のパートナーのR氏にも、ここで初めて紹介されたのだ。



初めて会うパートナー氏は、物腰の柔らかな、とても素敵な紳士で。

君がMだね、君のことはいつも彼から聞いているよ。
会えて本当に嬉しいよ、と言ってくれて。

わたしたちは、互いに自己紹介して、固く手を握り合った。


心の準備がまるで出来ていなかったので、ドギマギもしたけれど。

それ以上に、わたしは、なんだか、とても嬉しかった。

彼の家族に紹介されるなんて。
彼が、家族にわたしのことを話してくれていたなんて!

こんなに光栄なことが、あるだろうか。


これは本当に、嬉しいサプライズだった。




余談になるけれども。


TやRに限らず、彼の身内や、周囲にいる人は皆。
心身に余裕のある、見事に素敵な大人ばかりなのだ。

それが、わたしには、とても心地良いし、有難い。


遠方から1人でやってきて、彼の周りでウロチョロしているわたしに対して、彼らはいつもとても寛容に、温かく。

かつ優しく接してくれる。

その根底にあるのは、要するに。

彼が大切にしている人間は、すなわち自分の友人でもある、という。
非常にgenerousな、博愛精神とでもいうべきもので。


わたしは、彼らのそんな太っ腹さや心意気が、たまらなく好きなのだった。


もちろん、それもこれも皆、彼の人徳ゆえ。
自分は、ひたすら、その人柄の恩恵にあずかっていると思っているけれど。

彼らと一緒にいると、わたし自身がとても落ち着くのも、また事実なわけで。


自分の居場所はここにある、と思えるのは、本当に素敵なことだと。
わたしは彼や、彼の周辺の人々の友情に、いつも心から感謝している。





とまぁ、そんなわけで。
その後も、二人と和やかに歓談していたら、わたしの緊張も徐々にほどけてきて。

二幕は大分、ラクな気分で舞台に臨むことができたように思う。



ちなみに。

インターミッション終了直前に、3人でお互いの席を確認したら。

Tは壁際の補助席。
Rは、マチネでわたしが座っていた、G列あたりの席を確保していた。


わたしは、深く納得すると同時に、自分の浅はかさを省みて。


大人たるもの、やはりこうでなくてはいけない。

今後、彼がPOTOを降りた暁には。

わたしも、最前は避けよう。


ここまで来たら、こんな席に座ってはあかん。


てか、心臓に悪いし。
自分の体がもたん、と。


二幕目も、引き続き。

目の前で全力投球してくれる、彼の天晴れな芸人魂に、心中でひれ伏しつつ。



何事にも、手抜きというものを一切しない彼が。
ラスト・シーンで、毒入りのブランデーを煽って、思いっきりひっくり返り。

がために、山中で大木が切り倒されるがごとき地響きが立つのを、最前で。

体全体で感じながら。


しみじみと。



自分はもう、こんな席に座ってはいけないんだ。

遠慮しなくちゃ、と。



自らの、来し方行く末と。
我が身の立ち居地というものを、よくよく考え。


己の短慮さを、固く戒めた夜だったのだった。




きっとこれからも、彼とは、長い付き合いになるんだから。



小娘だからと言って、いい加減、いつまでも甘えていないで。



わたしも、とっとと大人になるんだ。


頑張るぞ、と。



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