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■MOVIE■『扉をたたく人』 ★★★★★
Thu.06.08.2009 Posted in Movie

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愛妻に先立たれ、心を閉ざして孤独に暮らしていた大学教授のウォルター(リチャード・ジェンキンス)。

ある日彼は仕事のために、ニューヨークに所有するアパートを訪れる。
ところが、そこには見も知らぬ、シリアとアフリカ系移民の男女が暮らしていた。

路頭に迷う若いカップルを追い出すこともできず、ウォルターはつい、二人が落ち着く先が決まるまで宿を提供するハメになる。

シリア出身の青年タレク(ハーズ・スレイマン)は、アフリカン・ドラムのジャンべを操るミュージシャンであり、ウォルターはタレクからジャンベを習い始める。

そうして、二人は、初めこそぎこちないながらも、次第に心を通わせていくのだが……。



リチャード・ジェンキンスの初主演作。
彼は本作品で、第81回アカデミー主演男優賞にノミネート。

監督・脚本は俳優でもあるトム・マッカーシー。
共演に、ヒアム・アッバス、ダナイ・グリラ、マリアン・セルデスら。


原題は『The Visitor』。






わたくし。

哀愁漂わせるオヤジに弱いんです。


無闇にヤニっこかったり、脂っこいのはNo Thank youですが。


ほど良く枯れた、ヨロヨロしたじじいを見ると思わず。

我と我が手を差し伸べたくなる。


そんな、魂の底からの。


孫体質。


・・・でございます。


具体的には、Over 55ってカンジですかね?


決めているわけでも何でもございませんが。


極めて個人的な実証によると。


どうやらそうらしい。




だってね。

オヤジって、可愛らしいんですもの。
そうは言っても、大概は憎憎しいですが。
(どっちだ)


なかには、たーまーに。

珠玉のごとき愛らしさと美しさをたたえた。


竹を通して、その美しさが光り輝くような。


かぐや姫のごとき眩さを放つ、おっさんがいるのです!



ハゲであろうが生え際が危うかろうが、アバタであろうが、病持ちであろうが!

たとえ、少々横腹が出ていようが!
(誰のことだ)


ポロシャツをパンツにインしていようが!
キャップの被りっぷりが浅かろうが!


そんなことは、ちっとも。


問題ではございません!


そんな瑣末なことで、わが愛するオヤジどもの麗しさが曇ることなど。


一切!


ございませんのです。


オヤジラブ!
(力一杯)


むろん、そんな素敵オヤジは極めて稀少ですよ?

しかし。


貴種・珍種であるからこそ尊く、また有難い!


彼らは、わたしの生きるよすがというか。


未来への希望なの!
(それもどうか)





そんなわけで、リチャード・ジェンキンスですよ。



visitor2.jpg


あああ、なんて素敵なこの笑顔。


この後頭部の急角度!


愛しのハゲ!!




・・・苦情は一切受け付けませんよ?
わたしが素敵と言ったら素敵なのです。


誰が何と言おうとも。



断固として擁護します。


わたしは世界中の素敵オヤジのサポーター。



この妙味がわからんうちは、女としてまだまだ!




彼の役どころは、熟年リタイア寸前無気力無感動大学教授です。

長年コチカネットで学生を教えていて、第三世界の経済やら何やらをテーマにした数冊の著書も出している。

コチカネットの自宅のほかに、NYのヴィレッジにアパートを所有している(しかも放置中)なんだから。

結構なアッパー・クラスです。


が、本人は、ピアニストだったヨメに先立たれて、ロンドン在住の一人息子とも音信不通。
無気力無感動で、生きながらにして半ば死んでいるような状態なわけ。


そのことは、本人も自覚していて。
女房の遺したピアノを習ってみようとしたりするんですけども。

悉くうまくいきません。


で、諦めが入っている。


俺はもう、後は惰性で余生を過ごすんだな、ふ。


的な。




ここで、ああ、脚本がうまいな、面白いなぁと思うのは。

彼が大学の講義概要を、この20年間。
ただの一文字も、変えてないって描写が出てくるところです。


つまり、リチャード・ジェンキンスがね。
講義概要の原本の年度を、ホワイト(修正液ね)で消すのね。


いじましいんじゃゴルァ!!


PC上ではなく。
あくまでもアナログ。


背中を丸めて。

ちまちまと不器用に、たった2文字(てか数字だから全角一文字だ)の修正を。


あくまでも真面目な顔で施す様が。

そしてその有様を同僚に見られそうになって、慌てて。
しかし、あくまでもさりげない風を装って隠す姿が。


ああ、このおっさんの人生に対する姿勢を端的に表しているな、と思うと同時に。


彼の、ちっとも面白くない何だこの人生は俺はもはやゾンビだ生きる屍同然だっていう、厭世的かつ投げやりなオーラの出所が。


決して恋女房に先立たれたからだけではないってのが、観客に。


一発でわかる仕掛けになっているのです。


だって、20年だもの。

女房が死んだのは、ほんの数年前ですよ?



彼が生きながらにして死にかけているのは、妻に先立たれて孤独だから、とか。

そんなセンチメンタルかつ単純な理由だけではないのね。


彼の生きてきた時代。
そして今。

われわれの生きる、この時代と社会。
彼の場合は、アメリカの現在の閉塞感みたいなものが、大きく、その影を落としているんです。


それが、物語の中で次第につまびらかになっていく、その語り口が、非常に巧みです。





ウォルターは、実は、情熱の人なんですよ。

無論、表現の人でもある。
なんたって、文筆家ですから。


「思考をする生活」が長くなっちゃっているもんだから、自分の身体や心の感覚や感情に鈍くなってしまっているけれども。

本来は、内にパッションを秘めた、非常に「熱い人」。


情熱家ってのは、感性が豊かですからね。
時代の空気にも、常人に比して、より敏感に反応するんでしょう。


本人が、そこに気づくか気づかないかは別にして。



そんな彼の、心の扉をたたく人が、シリア青年のタレクとアフリカ人の恋人ゼイレブであり。
また、ミシガンから遥々NYにやってくるタレクの母、モーナなんです。


全員、移民。


visitor3.jpg


タレクにジャンベを教わって、自分でも演奏していくうちに。

楽しさや。
瞬発力や、生きるリズムや。

情熱を昇華させる喜びを思い出したウォルターが見せる、こそばゆいような表情。
その戸惑い。

どうにも抑えられない高揚感を、リチャード・ジェンキンスが、それはそれは絶妙な匙加減で。

見事に演じてくれます。


実に素晴らしい。


タレクの母、モーナと、やむなく同居することになって。

寡夫(婦)同士で、段々と心を通わせていくところも、本当に上品で。


ああ、これぞ大人の恋だよな、と。

観る者(=わたくし)を、深く深く納得させてくれます。


人生って良いものですね。



また、モーナを演ずるヒアム・アッバスが、これまたすんばらしいのですよ。

演技ももちろん良いし、別嬪だし、深く刻まれた皺や、若干乱れた、剛い質感の。
漆黒の髪も素敵なんですけども。

個人的には、そのシャープな顔のラインから、カメラがターン・オフするといきなり。


意表を突いて、下半身がえらいことドスコイの。
アラブの母ちゃん体型なのが、たいへん、リアルでよかった。


説得力のある、生活臭の強い、ナマの女の美しさでした。



天晴れ。



そしてまた。



そんな彼女を誘って、リチャード・ジェンキンスが。


あろうことか、マンハッタンのWest 44th St.

わが Majestic Theatre のど真ん前に。


イエロー・キャブで乗りつけたときには、わたくし。



もはや失神寸前。



聞いてないよ!!



「怖い話ね」って、モーナさんアンタ、そうじゃないだろ!と、一人画面突っ込み。
(注:映画館です)



・・・わがおやっさんつながりで言うと、もう一つ。

リチャード・カインド(@bounce)が、ウォルターの隣人役で出てきます。
ゲイ設定で。



あんたらはわたしを殺す気か!!



とまぁ。

わたくしの、非常に極私的な事情をご存知ない方には。


何が何だか、何処が面白いんだかはてさっぱり?

な感想になっていることと存じますが。



傑作ですから!


是非ご覧遊ばしませ。



ハッピーエンドではありません。

余韻はほろ苦く。

万人向きではないかもしれません。



しかし、『グラン・トリノ』がお好きな方は、本作もきっと。


涙を振り絞られるであろうと思います。


あの作品とは、合わせ鏡のようにも観ることができる。
より渋く、苦味は強く、また。


あちらが、骨の太さを感じさせる重厚な作品であったのに対して。


本作は、疲れて弛んだ皮膚の質感も、これはこれで愛しく捨てがたい、と思わせるような。


そんな、味のある佳作だと思います。




抑制の効いた、美しい。

大人のための。


粋なドラマでございます。



3食抜いても、是非。


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comments

邦題わかって良かったです♪^o^

いきなり「ハゲ」ってーーー。笑

昨日、MARIさんが好きそうな年代の紳士と昼に会いました。
年代があうだけで、ハゲではないのですが、後頭部ヤバいよーーとご注意させていただいたところ、それは回りが濃いから目立つだけ!と言うような人ですが、どうでしょう?笑

あっ本題の本題っ
って、本題がなかなか出てこないので、じっくり読んでしまいました!!笑
楽しみ2倍で、楽しみっす♪

yuricoさん

だって、ハゲだもの!>「ハゲ」

わたしは別にアレですよ、何度も言いますがジジ専ってわけでは(笑)
年齢は関係ありまへん。たまたまです、たまたま。
でも紳士はいつでもウェルカム(しかもyuriちゃんお墨付き)なので、いつでもお会いしますから、セッティングをお願いします!(笑)

東京では恵比寿の単館上映です。
きっと空いているから、観てね♪

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