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■MOVIE■『スラムドッグ$ミリオネア』 ★★★★★
Sun.19.04.2009 Posted in Movie

slumdog-millionaire.jpg


インド・ムンバイのスラム街出身で無学の青年ジャマール(デブ・パテル)は、TV番組「クイズ$ミリオネア」に出演。
彼はとうとう最終問題までたどり着き、一夜にして億万長者となるチャンスをつかむが、不正を疑われ、警察に拘束されてしまう。

警官の厳しい尋問に対し、ジャマールは正答を知ることになった自分の過酷な過去を話し始める。

彼の口から語られたのは、兄サリーム(マドゥル・ミッタル)と生き抜いてきた幼き日々の生活。
そして、初恋の少女ラティカ(フリーダ・ピント)への一途な思いだった…。


「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督。

第81回アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか最多の8部門を受賞。



・・・ええと。
この映画を一言でいうならば。


「剛直球」 です。


それも、ド真ん中ストレートな。


本作については、前情報を、あえて一切遮断していたもので。
ストーリーや役者はおろか、設定さえも、ほとんど白紙の状態で鑑賞に臨んだんですけども。


ここまで正統派の純愛モノとは思わなんだ。


いやァ、まいったまいった。



slumdog-millionaire-kid.jpg


純愛映画としては、実は。
ぜんっぜん捻りがなくて。

今時珍しいくらいの、真っ直ぐな映画です。

極貧の中で手に手をとって生き抜いてきた少年と少女が、いつしか愛し合い、引き裂かれ、求め合い。
しかるのち、やがて困難を経て結ばれる、という。


よく知りませんが、韓流ドラマなんかにこのテのお話って多いんじゃないの?

・・・っていう、非常に単純明快なストーリーなの。


が、そのへんの凡百なメロドラマと一線を画しているのは、舞台がムンバイがまだボンベイだった頃の、混沌と猥雑を極めていたインドであるということ。

それと、世界中で最もポピュラーなクイズ番組ってのを絡めてきたところですね。


slumdog_millionaire19.jpg


ダニー・ボイルらしい疾走感溢れる演出と、現実のインドを思いっきりデフォルメした(と思われる)スラムを俯瞰で追っていくカメラワークが、実に素晴らしい。

特に前半が良いです。

ジャマール&サリーム兄弟の幼い頃を演じた子役たちが、ものすごく良い。

ジャマール役がアーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール。
サリームを演じているのは、アズルディン・モハメド・イスマイル。

この二人、大人時代の役者たち(こっちが本当の主役)を、完全に食っています。

この二人の生き生きとした演技、目まぐるしく動く表情、躍動感のある体の動きを見るためだけにでも、十分に木戸銭を払う価値がある。

特に、その黒い大きな瞳の雄弁なことと言ったらもう。
インドの人の眼力って、多分、世界一だと思う。

わたしは個人的に、子どもが主人公に据えられている映画ってのは、そんなに好きじゃないんですけども。
それだけに、「魅せる」子役に出会うと、喜びもひとしおでしてね。

とても嬉しいのです。

リトル・ラティカとアルヴィンドの二人も、非常に印象深い演技。


その反面ね。

子ども時代の映像と、エピソードの面白さ及び役者の嵌り具合と。
それらが結実した「絵」が、あんまりにも良いので。

後半、ちょっと失速した感は否めなかったかな。

大人時代の役者も良いんですけどもね。
子役が良すぎるんですよ。



slumdog_millionaire3.jpg


ジャマールは、一途で正直者。
見ようによっては愚直なほど、迷いのない青年です。

底辺で野良犬同然の暮らしをしてきた彼は、にも関わらず。
金には全く執着しない。

億万長者になることそれ自体については、彼は殆ど無関心と言っていい。

なぜならそれは、彼にとっては手段であって、決して目的でないから。

そして、彼は彼の「目的」を、決して諦めない。

彼にとっての目的は何かって?


それはラティカ。
美しいラティカ。

彼にとっての「運命の女」。


slumdog-millionaire-latika.jpg



ジャマールや、彼と関わるインドの人々のしたたかさ。
どんな陰惨な状況にあっても、決して根本的には暗くなるということのない、骨太なオプティミズム。

このオプティミズムこそが、この作品の全編を通しての基調音となっています。

だから、これだけ猥雑感のある映像の釣瓶打ちであっても、受ける印象はとても爽やか。
明るく、清々しい後味を残す。

物語を追っていくうちに、ああ、そうか。
これはダニー・ボイルによる人間賛歌なんだな、と気づきました。


slumdog-millionaire-jai-ho-dance.jpg


ええ話です。

エンドロールで全員が踊りだす(サリームやマンマも出てきて欲しかった!)のなんか、もう最高です。

わたしは冒頭の、ボンベイのスラムを俯瞰で撮った映像と、このラストのダンス・シーンが一番気に入ったな。



何でもあり、どんなことでも起こりうると思わせる、インドのマジック。
カランと乾いた、前向きな笑いと諧謔。

そして来るべき未来に対しての、ヴィヴィッドで明るい希望。


娯楽映画に望まれるおよそありとあらゆる要素が、幕の内弁当のように目一杯に詰められた。
フレッシュで、見事な傑作と思います。



信じる気持ちが体の奥底から湧いてきますよ。


ちっぽけかつ矮小な我ら人間の。

誰もが身内に秘めている、「生きる力」というものを、ね。


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comments

わたしも今日見て来ました。
おっしゃる通り「剛直球」でしたねー
再会してはまた離れ…ってあたり、たしかに韓流です!
そしてエンドロールのダンスシーンはこれまた「ザ・王道!」って感じでなんだかうれしくなりました。
(あ、インド映画って見た事ないけど、イメージそのまんまだったので)
ラストの「D. DESTINY」の文字がまたぐっと来ました。

さちえさん

いや、わたしはこの映画「剛直球」と思いますけども、「王道」とは思いません。てのは、ラブストーリーとしては直球ですが、娯楽映画としては実は結構捻ってあるから。

一見ラブストーリーなんだけど(てかラブストーリーには違いないんだけど)、監督が描こうとしたのは人間の持つ底力っていうかね。人間が起こす奇跡ってのはつまり、こういうことでしかないだろう。それが人間として生まれてきた所以たるものだろう、みたいな。
結構割り切った、ドライな世界観がありますよ。

爽やかな純愛とヴィヴィッド過ぎる映像で目くらましをかけてますけど、本作でダニー・ボイルが見せた堂々たる人間賛歌の裏には、結構屈折したロジックがあるとわたしは見ましたけどね。

すみません、言葉足らずで。
王道だと思ったのはダンスシーンのことです。
インド映画って突然ダンスシーンが出て来る、ってイメージが強いもので…
(繰り返すようですが見たことないので、あくまでも見た人の話を鵜呑みにしたまでです)
ダニー・ボイルの描いた世界感についてはおっしゃる通りの「割り切ったドライ」なものを感じました。
ところでラティカのテーマカラーは黄色だったように感じましたが、インドでは黄色って何か意味があるのでしょうか?

さちえさん

ああ、そうでしたか>ダンスシーン
あそこ、”スリラー”を踊ってましたが、お気づきになられました?
ちっともインドのダンスじゃないっていうのが良いなァ、節操なくて、とわたしはニヤニヤして見てました(笑)

黄色はヒンドゥーでは聖職者の纏う色で高貴な色ですけども、彼らは一応ムスリムでしょう?だからそれはあまり関係ないでしょうね。
ああでも、マレーシアのモスクなんかでは、ターメリックを礼拝に使ってたな・・・。

まぁね、あえて深読みするなら、ラティカの聖性とか穢れのなさを表していると受け取れないこともないですが。
彼女は実のところは決して「清らかな乙女」ではないんだけど、ジャマールにとっては永遠に穢れなき女でしょう。
焦がれても焦がれても手が届かなかった、その時間が長かった分余計に、彼の中で彼女は光り輝く存在になっているわけですよ。彼女の纏う黄色(てか黄金色ですかね)は、それを象徴しているのかもしれません。

と、色々と書きましたが、結局のところは要するに、単に画面映えの問題なんじゃないですか?
つまりただ彼女に似合うからっていう、それだけのことではないかと(笑)

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