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アネモネ
Wed.25.03.2009 Posted in flowers

アネモネを活ける。



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「これを書いている今、硝子の壷の、薄緑の水垢を沈めた薄明かりの中から、蛇が立ち上ったような恰好にそれぞれの形で延びている、十本程の薄緑の太い茎の上に、濃紅色、黄みを帯びた薔薇色、ミルクを入れたように甘く白い紅、檸檬の黄、なぞのアネモオヌ」  (森茉莉 『贅沢貧乏』より)



090325-4.jpg


アネモネ、といったらすかさず思い出すのが上記の一節。
森茉莉の名著、『贅沢貧乏』。


わたしには、アネモネを"アネモオヌ"と呼ぶことはできないけどね。
だって、気恥ずかしいもの。


もっとも、森茉莉以外の人がそんな気障な呼び方しても、ちっともね。
サマにならんだろう、と思います。


森茉莉は、お耽美と粋と気風を同居させることのできた、世にも稀な資質の持ち主だった。

それは、彼女の特異な出自と育った環境。

そして何よりも、彼女の唯一無二の稀有な感性があってこそ初めてこの世に出現した、奇跡のようなものだったんだろうとわたしは思っている。


こんな人、ほかにいてたまるか。



彼女の世界に、アネモネはとても良く似合います。


そんなことを思いながら、あえて高さは揃えず。
位置もランダムに活けてみた。


090325-1.jpg


アネモネの語源は、ギリシア語で「風」を意味するanemosからきています。
種に長い繊毛がついていて、風に乗って繁殖するから。



「ギリシア神話中に、美少年アドニスが流した血よりこの植物が産まれたとする伝説があり、稀にアドニスと呼ぶ事も有る」 (Wikipediaより)


ああ。
茉莉さんの世界だ。



090325-TOP.jpg

本日の花は、アネモネ、雪柳、ぜんまい。

それにセロウム。



蔵書は最小限に抑える主義のわたしが、彼女の全集は、筑摩書房の限定版を揃えている。
どうしても欲しくて、貧乏だった学生時代に買った。

とても高価だったけど、買って良かったと思っている。

茉莉さんの文章は、読み手に美と豊穣を与えてくれる。
人生を楽しむことを教えてくれる。


どこにいても、どんな境遇にあっても、彼女は生涯。

精神が貴族だった人だ。



彼女の書き遺したものが、あの頃のわたしを、どれだけ慰め、励まし、力づけてくれたか。




ありがとう、茉莉さん。



今日の花は、アネモネを愛したあなたへ捧げます。


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comments

MARIさん、こんばんはー。
ため息がでるほどの文章で、ブログという枠をすでに超えて
しまっているので読ませていただくたびに、軽く緊張しちゃって
おります。いかにどっぷり世俗的でおばちゃんワールドに
自分が生きてるんだなあと思って恥ずかしくなったりだわ。(^^;;
森茉莉さんなのね、なるほどなあ~。
「甘い蜜の部屋」ではその耽美で時には残酷な世界に
戸惑って、読者の私はいつのまにか溺れてしまうような
錯覚に陥った思いがありました。
「アネモネ」というとすぐに村上龍の「コインロッカー
ベイビーズ」を思い浮かべてしまいます。この破滅的世界観
の中でもアネモネは清らかな水にしか生きることができない
魚の鮎のように清廉で壊れそうで圧倒的に美しいのでしたね。

mint2さん

お褒めのお言葉ありがとうございます。
しかし、わたしはそれこそ、俗世間にどっぷり浸かって生きる女ですよ(笑)
煩悩と煩悶の塊ですもの!

そしてすみません、わたしの読書傾向は、ものっすごく偏向しているもので、村上龍は、未だに1冊も読んだことがありません!
ああ、ご期待にお応えできない自分が嘆かわしい!(笑)

ちなみにアネモネは、わたしの中では「たくましい花」です。丈夫だしよく咲くし、簡単に、よく増えますしね。

わたしは森茉莉さんも、強くたくましい女性だったと思っています。でないとあんな生き方はできませんよ。
彼女は非常に強く、かつ図太い人です。アネモネのように。
だから、老いてなお、あの世界を死守しつづけることができたんです。

わたしは、男も女も、強くたくましい人が好きなんですよ。
踏まれても叩かれても決して折れない強さと、唯一無二の繊細な魂をあわせ持った人に惹かれるんです。

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