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Modern Nature
Sun.22.03.2009 Posted in flowers

「ハリエニシダは、風に打たれ異様な形に変形した金色にきらめく花と、絞った洗濯物のようにねじれた枝。ネスでただひとつの冬の花である。茂みのいくつかは1メートル80センチもあり、てっぺんは風にきしるトゲにびっしりとおおわれている。他の茂みは地べたを這うほどに低く、庭園の刈り込みさながらの正確さで四角錘や円錐の形にきちんとウサギたちにかじられている。

"ハリエニシダが咲いていないとき、キスは季節はずれ"

ご心配なく―ここではいつも咲いている」




(『モダン・ネイチャー』 デレク・ジャーマン)



園芸は、あまたあるわたしの趣味の一つ。
物心つくかつかないかの子どもの時分から、花や草木が好きだった。

自分は多分、結構熱心なアマチュア園芸家だと思う。


家の中でも外でも、たくさんの植物を育てている。



春は、園芸家にとっては一番楽しい季節。

休日の朝。
目が覚めたときに空が晴れていたら、もう、じっとしていられない。


菫の鉢をかえ、オリーブを植え付けて、ローズマリーの株分けをする。
小さなラベンダーの苗をいくつか買ってきて、寄せ植えを作る。

風知草には新芽が出てきているし、ビバーナムの大鉢にはいつのまにか、かわいらしい蕾がたくさんついていた。

野バラもアイスバーグもモッコウバラも、柔らかな緑の葉が一斉に芽吹いてきている。

ギボウシはまだ、土の中で眠っているみたい。


夢中になって植物の世話をするのは、とても楽しい。
静かで、幸福な時間だ。

下を向いて無心になっていると、あっという間に時が過ぎる。

いつも、気がつくと数時間は費やしている。




冒頭に引用した一節は、わたしの愛読書。
デレク・ジャーマンの日記から。

全編が散文詩のようなこの日記は、とても悲しくて。
そして、とても美しい。

選び抜かれ、研ぎ澄まされた鋭い文章が読み手の胸を抉るような本。

初めて読んだときは、デレクの唯一無二の美意識と。
後ろを振り返らない凛とした生き方に、わたしは泣いた。


今でも折にふれては手に取る本の中の一冊だ。

あまりに好きすぎて、滅多に読まないけどね。

だって、読むと泣けてくるから。



「とにかく私に選択の余地はなかった。私は隠し事が嫌いだ。それは徐々に身体を蝕む潰瘍のようなものだから、白日の下にさらしてカタをつけてしまった方がいい



デレクは、1994年にエイズでこの世を去るまで、イギリスのドーバー海峡沿いの荒涼とした土地、ダンジュネスに住んでいた。
原子力発電所のすぐ側の浜辺にある小さな小屋を買い、プロスペクト・コテージと名づけた。

彼はそのコテージの周囲で、来る日も来る日も土を掘り、苗を植え、石を取り除いて種を撒き。

彼にしか作り得ない、この世のものとは思えないほどセンシティブで美しい庭を造りあげた。

彼の庭は、まるで彼岸の岸辺のようなのだ。
涙が出てくるような景色だ。


そして未完成のままだ。



わたしがこの本を知ったのは、彼が死去して大分時が経ってからのこと。


デレクに、園芸の楽しさを教えたのは、4歳のときに両親に贈られた、エドワード七世時代の園芸の本だったそうだ。

美しい水彩画とスケッチがたくさん挿入された本―『美しい花々とその育て方』は、彼の長年のバイブルだった。


わたしにとっての園芸のバイブルは、デレクの二著書。
『Modern Nature』と『Derek Jarman's garden』だと思う。

この二冊と、フランシス・ホジソン・バーネットの『The Secret Garden』。

これらの本の中には、わたしが植物と庭に求めるすべてのものが詰まっている。



三冊とも、雨の休日に読むことが多い本。



デレクには、もっと生きていて欲しかった。


彼の死から15年。

今、心からそう思う。




「インディゴ・ブルーの空。鮮やかな黄色の半月が星々のあいだ、原子力発電所の揺れる明かりの向こうに嵌めこまれている。澄み切ったブルーの空に身を切るような西風が吹く。浜に沿って歩いていき、道のずっと先に生えているカノコソウからさし穂をとってきて家の前の花壇の隅に植えた」



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