スポンサーサイト
--.--.--.-- Posted in スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
The Stagehands
Wed.11.02.2009 Posted in @Theater

"Stagehand"というのは、大道具さんのことです。


わたしはこのStagehandって、ものすごく格好良い呼称だと思うんですよね。
だって、ほんとに彼らは、舞台の・・・というか。

劇場の、手となり足となる人たちだもの。



わたしは昔から、アートやモノ作りに携わる人ってのが好きで。
周囲にもそういう人々の多い環境で育ちました。

でもって、好きだ好きだ言っているうちにいつしか自分もそういう稼業についていたという、とても幸運な人間です。


舞台にしても本にしても何らかのエキシビジョンにしても、表に出るのは、実はごく一部だけでね。

その裏には、膨大な人の手と労力と時間がかかっているっていうのは、外の人たちにはなかなかわからないんだろうな、と思う。

わたしたちの仕事は、そのほとんどが、綿密なチームワークの成果なんです。


Majesticには、100人からのステージハンドが働いているのをご存知ですか?

毎日、ステージの幕を上げ、降ろし。
膨大なメカニックを操作し。
様々な仕掛けが滞りなく動くよう整備し。

俳優がステージに出るのを補助するのも、彼らが怪我をしないよう気を配るのも、すべてステージハンドの仕事です。



そのほとんどが力仕事だから、やはり、屈強な大男が多い。
わたしの体くらい、片手で軽く持ち上げるような人たちです。



stagehand1.jpg
"Red Death"の出の直前。
主役は専用エレベーター(これがまた、業務用のとっても簡素な作り)で階段上まで上がります。
このエレベーターの操作も、すべてステージハンドが担当します。


特にこの芝居は、主役が舞台の内外を、縦横無尽に動き回ります。
それこそ急な梯子やくぐり戸を、視界の悪い中、大仰なケープやら帽子やらをまとって素早く出入りしなければならないので。

とても危ないんです。
ほんのちょっとした不注意やミスが、場合によっては、重篤なトラブルや大怪我につながることもある。

わたしも幾度か、ヒヤッとする出来事に立ち会っています。


だからこそ、ステージハンドの役割は大きいの。
役者とスタッフの連携がきっちり取れていないと、舞台は決してスムーズに進行しないんです。



作家にも俳優にも、色々な人がいますよ。
そりゃ、人間だからね。

でも、優れたアーティストは、自分の仕事が決して自分一人だけの業績じゃないってことを、きっちりわかっている。
肌身で知っている。

だから、そういう人は、スタッフを非常に大切にします。



一昨年、Broadwayでステージハンド衆がストライキを決行したとき、わたしがまず心配したのは。
自分の渡米のこともだけど、あの寒空の下、ピケを張る友人たちの安否でした。


わたしは、裏方仕事が好きだし、何よりも現場が大好き。
国内外を問わず、裏方のおっちゃんたちの仕事場にどんどん突っ込んで行っては、彼らの仕事っぷりを観察したり、場合によっては手伝ったりして喜んでいるもので。

だからかな。
現場の職人さんにはいつも、非常に可愛がっていただいています。

仕事でも、プライベートでもね。


みゃあみゃあとわけのわからんことを喋っている東洋人の小娘を、皆、適当に構っては適当に放っておいてくれます。

行くといつも、がっちり、ハグとキスで迎えてくれる。
ぶっきらぼうだけど、温かくて、とても優しいですよ。

わたしは気が優しくて力持ちの、大きなおっさんが好きなのよ。



こういう現場の空気ってのは、何処も大体似通っています。
国籍も、人種も、言語もあんまり関係ございません。

職人気質ってのは、万国共通なんだな。

自分の仕事に誇りを持って、黙々と目の前の仕事に取り組む人は皆、美しい。
ほんものの仕事人には、愚痴や泣き言なんか、一切ないですよ。

嫌ならとっととやめろって世界だから。
この厳しい業界で、甘えてるヒマなんてありゃしないのさ。

わたしはそんなプロフェッショナルをこそ、愛す。



この先、どういう方向に向かい、どういう立場に立つことになったとしても。
自分は、いつも活気のある現場に身を置いていたいな、と思う。


舞台を観ているのももちろん好きだけど。
幕が降りた後の、バックステージのざわざわと慌しい、緊張の解けた空気も、わたしは大好き。

表も裏もひっくるめて、「劇場」をこよなく愛しているんです。



stagehand3.jpg

わたくしが腰掛けているのは、"Phantom Boat"です。
これもすべて裏方で操作。役者は「漕ぐ演技」をするのみ。

それらしく見えるポーズをとるために、実は。
主役が足を引っ掛けるベルトが、ボートに設置してあります。

そんなところは、実に合理的。
芸が細かいです。


でも、乗り心地はイマイチ。
ついでに、寝心地も良くない。
(寝るなよ)


これら、舞台で使う大道具は、裏側に各々の収納スペースがあるんですけどね。

収納と言っても、一見ごく乱雑に、というか。
ごく適当に置かれているように見えますけども。

パイプオルガンやら、化粧部屋一式やら、仕掛け椅子やら、等身大歌姫人形やら鏡やら。
対になっている、それぞれの小道具と一緒に。

つまり、ブーケとかベールとか羽ペンとか、楽譜とかさ。
(ヅラ及び衣装は別管理になります)


客席から見えないところは、結構雑で、アバウトに作ってあるのが面白い。

ちょっとした痛みや破れは、ガムテープやら何やらでガンガン補修してあります。
そのへんは、いかにもアメリカンです。



ちなみに、"Masquerade"のシーンで使われる人形たちは、すべて天井から、ワイヤーで吊るされています。

上を見上げると、なんか白い手足や派手なドレスがゆらゆら揺れているの。

怖いってば!


これも、初めて見たときは吃驚したなァ。
てか、笑いました。


このように、つまり。
ある意味、身も蓋もないのよね、舞台裏ってのは。

でもね。
夢を創造する現場ってのは、実際のところは、そんなもんなんですよ。


でもって、そういう現実的で、とことん合理的なところが、わたしの性にはとても合っているの。

振れ幅が大きければ大きいほど、身内の血の巡りがよくなるというかね。
細胞が活性化して、イキイキしてくるんだな。


majestic-back.jpg
Majesticのバックステージ・ドアのインサイド。
ここは関係者以外は原則立入禁止。先に見える扉がいわゆるバックステージ・ドアですね。
自動施錠で外部からは開かないようになっています。



何十回となく通い続けて、いつしか沢山の友達もできて。

裏も表も、天井裏から奈落まで、今や。
行ったことがないところはほぼない、と断言できるこの場所。

21年間もの長きに渡って、同じ芝居だけを営々と上演し続けてきた。
Broadwayでも特別な、この古い劇場。

たくさんのエネルギーと、歴史と、大勢の人の汗と涙の染み込んだ、黒く光る舞台。


わたしは、とっても幸せなの。
体の芯から、フツフツと幸福感がこみ上げてくる。

ここにいると。


わたしが劇場を愛している分だけ、劇場もわたしを愛してくれているのがわかるから。


やっぱり、これも恩寵というか。
ギフトなんだろうな。


舞台の神様から、わたしへの。


皆にも言われるとおり、自分は多分。
とってもラッキーな人間なんだろうと思う。

自覚しています。


自分の持てる情熱と愛を、後先考えず。
思いっきり注ぎ込めるものや人が、いつも傍にいてくれるのは。

人生において何よりも幸せなことだ。

そしてその対象から愛を返されることほど、心が満たされる瞬間はない。

これを幸福と言わずして何と言う?ってもんだろう。


日々、心から感謝しています。


« ■MOVIE■『ホット・ファズ』★★★★★ | Home | Be My Valentine »

comments

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。