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■MOVIE■『ブラインドネス 』★★★
Mon.01.12.2008 Posted in Movie

blindness_p.jpg

ある日ある時、突然に。
視界が真っ白になり、一切の視力を失うという奇病が世界中に蔓延し始める。

施設に隔離された感染者たちは、不安と恐怖から次第に……。


主演はジュリアン・ムーア

共演にマーク・ラファロダニー・グローバーガエル・ガルシア・ベルナル伊勢谷友介木村佳乃ほか。

原作は、ノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの『白の闇』。

『シティ・オブ・ゴッド』『ナイロビの蜂』フェルナンド・メイレレス監督作品。



わたしは、フェルナンド・メイレレス監督の大ファンなんです。

『シティ・オブ・ゴッド』はあまりにシビアな作品で、わたしにはちょっと酷だったんですけども。
でも、あらゆる意味で力技、というか。

有無を言わさぬ迫力を持った作品でしたし。


『ナイロビの蜂』なんて、もう、ほんと大好きですよ。
わが殿が悪代官役で出ているからっていうのを置いておいたとしても、あれは素晴らしい傑作でした。

わたしにとっては、あの年のNo.1映画でしたよ。


無駄を省いたストーリーテリングの巧さ。

体温が高いような、それでいて血の気が薄いような、泥臭さと洗練が絶妙に同居した絵づくり。
その美学。

人間に対する冷徹で、アイロニーに満ちた目線。

『蜘蛛女のキス』マヌエル・ブイグもアルゼンチン出身の作家ですが、彼なんかにも、ちょっと共通するものがあるのね。

南米の人に特有なんじゃないかとわたしは思っているんですが。

何と表現すればいいかな。
甘味をとっぱらった、乾いたセンチメンタリズムとでも言うのかな。

矛盾しているようですが。



・・・なんですがね。


本作に関しては、微妙。


なにしろシチュエーションとか、設定が、ちょっと寓話的にすぎてねぇ。
いや、無論「あえて」なのはわかるんですけども。

それにしてもなぁ・・・。


冷徹なリアリズムが真骨頂(なハズ)のメイレレス監督には、正直。
あまり合っていないんじゃないかという気がしましたがどうでしょう。


本作は、とにかく。

結構分かり易い寓意性を持った物語でしてね。
文明批判とか、国家の持つ暴力性とか、ジェンダー論とか、宗教とは何か、とか。

権力の逆転の構図とその皮相さ、とかね。

ジュリアン・ムーアの扮する、「世界で唯一目の見える人間」に、そのあたりが非常に顕著に描かれるんですけどね。

でもって、彼女はとっても巧いんですけども。

それはそれでよろしいのです。
しかし、メイレレス監督が扱うには、ちょっとなぁ。

これは、野暮ってもんじゃないか?と。

個人的に思ったのでした。


blindness.jpg



しかし、絵的にはやはり、大変わたしの好みです。
彩度を意識的に落としたような、硬質で冷たい画面に見惚れました。

特に、見えなくなる瞬間の"ホワイト・アウト"と、「キーン」っていう効果音ね。
怖かった。

ホワイト・アウトといえば、ラスト・シーンで。
ジュリアン・ムーアの視線の先が真っ白に映し出されるところなんかも、とても印象的。

劇中にも何度か、暗転ならぬ「白転」のシーンが挿入されていて、よかったです。
痺れました。


『ナイロビの蜂』の時も、アフリカの赤茶色の大地の色と、レイフ・ファインズ&レイチェル・ワイズのラブ・シーンでの、青味の勝った画面の対比が非常によかったですが。

この監督は、色彩感覚がとっても鋭いと思います。

鋭敏にして独特。


キャストは皆好演ですし、日本人役者のお二人もなかなかよかったです。
日本語より英語の方が、台詞回しが良いっていうのはどうかと思いましたが。

ああそれと、サンドラ・オーが、チョイ役ですが。
面白い・・・というか、たいへん美味しい役で出ています。

あそこは笑うところよ?
なんで誰も笑わないの?(@某ヴァージンシネマズ六本木)



また、ジュリアン・ムーアは、こういう、強いんだか弱いんだかわからない、なんともいや~んな女を演らせると天下一品な気がします。

この女優さんは、カメラアングルや表情によって、ものすごく綺麗でうっとりなときと、もしかしてこの人は醜いのか?くらいに不細工に見えるときとがあるんですね。

不思議な人なの。

でも、それが彼女の持ち味でね。
その個性のおかげもあって、こういう、アンビバレンツで捉え所のない役柄が、見事に嵌るんだろうと思います。


本作以外でも、この人は割と一貫して、「ヘンな女」(≒不思議ちゃん)を演じてきていますから。
作り手は皆、ちゃんとわかっているんだろうな。

(念のため言っておきますが、生ジュリアン・ムーアはニュアンスのあるえらい別嬪ですよ。
B'wayで3回観ているわたしが保障します。
ほんと綺麗な人だった)


とにかく。

この映画で彼女が扮する主人公には、ぜんっぜん共感できませんよ。
てか、共感できたら、それはそれでまずいんですけどね。

だって、どっちかっていうと、この役はかなり「イヤな」女だもの。

でも、それで正解です。
ジュリアンの演じ方は正しい。

てのは、この役は、「権力」を象徴するキャラクターだから。

その曖昧さや、言動の唐突っぷりや。
自立しているようでいて、実は自分の存在そのものすら他者へ依存している。

でもって、本人はそんなこと何も考えずになんだか、ただがむしゃらに一生懸命、という。

その佇まいを見ていると、だんだん辟易してきます。
傍からは突っ込みどころが満載でね。



まぁ、でも、うんざりできているうちは、自分は大丈夫なのかもしれん。
こんな風になっちゃあいかんな。

自分に対して客観性を持つことは、人間の最後の砦だな、などと。


凹凸の少ない彼女の横顔を眺めつつ、しみじみと思っていた次第です。


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comments

面白そうですね!

MARIさん、こんにちは。
いつも綺麗なお花の写真で、目の保養をさせていただいてます。

この映画は、予告編を観ました。
その時は単なる怖いハリウッド映画なのかなという印象だったのですが、結構奥の深そうな話ですね。
機会をみて是非観たいと思います。

かなかなさん

を!かなかなさん、お久しぶりです!

この映画は、非ハリウッド的です。どちらかというと。
出来的には、ちょっと微妙。
この監督は前作・前々作が素晴らしかったので、こちらの期待度が一方的に高かったからかもしれませんが…。

あとですね、何シーンか、女性としては生理的に辛い描写があると思いますよ。かなかなさん、大丈夫かな。
この監督の特徴だと思いますけども、残酷描写とか不潔感とかが容赦ないんです。
まるで生皮を剥がれるようなキツさがあるんですよね。

クローネンバーグなんかとちょっと似てるところもありますが、突き放しっぷりはメイレレス監督の方が、よりドライで現代的だと思います。

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